旅行再開へ噛み合わぬ議論、「このままでいいんですか?」

  • 2020年7月22日(水)

 2、3週連続で「GoTo」など旅行の再開とそれを否定しようとする動きについて強い論調で書いてきましたが、色々と反響がありました。旅行業界関係者からは概ね賛同いただく一方、旅行は安全と安心あってこそという趣旨のご意見もいただきました。安全と安心について軽視しているつもりは全くないのですが、どうもそのあたりのすれ違いに現在の問題がある気がします。

 安全については、何度も書きますが新型コロナウィルスの患者数が仮にゼロになったとしても他の感染症や天災のリスクが無になるわけではなく、その意味で完全な安全などない、程度問題なのです。その点は誰も否定しようがないはずなのになぜか話が通じない印象で、反対されている皆様はどうなれば安全とお考えか是非聞いてみたいものです。

 一方、安心については、いまだ感染者ゼロという岩手県出身の方が投稿された、「岩手1号はニュースだけではすまない」というお父様からの連絡が話題になっていましたが、確かにそういった日本人の性質からくる不安は十分理解できます。地方の宿泊・観光施設で感染者が出てしまったら大変なことになる、という危機感は私には想像できないレベルかもしれないという予測もつきます。

 ですが、それでもやはり「じゃあこのままでいいんですか?」という疑問はついて回ります。旅行業界で働きながら慎重なご意見をお持ちの方にお聞きしたいのですが、今の状態がこれから半年、1年と続いたとして、ご自身の生活は、あるいはご所属の会社はそんなに安泰なのでしょうか。

 1ヶ月や2ヶ月、あるいは年内は我慢できるかもしれないし、その時には東京の感染者が1日あたり30人くらいになっているかもしれない。しかし、さあ来月からとなった時にまた200人、300人と増えはじめたら次はどうするのでしょうか。「感染者が出たら」「クラスターが発生すれば」という「たられば」は進んで採用するのに、先のことには言及されないとなると議論が成立しません。

 Yahoo!ニュースで、沖縄県立中部病院ご所属という高山義浩医師のインタビューが掲載され、当欄読者の方からも是非紹介してほしいとご要望いただきましたが、このなかにある「今の東京ぐらいの流行であれば、大阪や名古屋など大都会で何度も繰り返されるでしょう。そのたびに躊躇しているようでは、いつまでたっても沖縄観光は軌道に乗りません」というご発言は、まさに我が意を得たりです。

 また、諸々の取り組みをすることによって「沖縄観光は感染症に強くなっていく」とも話されていますが、観光産業が進むべき、あるいは進み得る道はこれしかないと思います。「そんなリスクを取るくらいなら観光は諦めよう」という判断が社会として公に下されるのであれば私もさっぱり主張を取り下げるわけですが、そういう選択をする局面であるという考えは極端なのでしょうか。

 GoTo批判の流れのなかで二階俊博氏と全国旅行業協会(ANTA)や全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会との関係も取り沙汰されており、安倍憎し、自民党憎しの反対というのも大なり小なりあるのだと思います。私はもともと日本的な意味でのリベラルな考えを持っていますし、旅館系の業界紙が選挙前にでかでかと同党の広告を掲載し、同じ号の社説で同党への投票を呼びかけていたことに嫌悪感を覚えたこともある人間ですが、逆に「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」というような無思考状態に陥りたいとも思っていません。

 その意味で、反対派の方々のなかには「GoToには反対だが交流再開はやむなし」という考えもあり得るのかもしれませんが、それならそれで私としてはなんでも結構です(そもそもGoToはトラベルビジョンが強みとする海外旅行には関係ありませんし)。日本が観光を必要するのであれば、1日でも早く仕事をさせてくれというのが唯一の切なる願いです。

 なお、そんなことを考えつつ、もしかするとこのまま行けば体力のない旅行会社が軒並み淘汰される一方で観光産業は残り、恐竜が絶滅した後に哺乳類が幅を利かせたように、既存各社とは異なるプレーヤーたちが旅行の流通を担う新しい時代が到来するのかもしれないと想像したりもします。そうなるのは残念でなりませんが、いつまでもこのような足踏みをしているとあながち空想とは言えなくなるかもしれません。(松本)

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